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ホワイト物流推進運動に取組む目的とメリットとは

現在、物流業界における人手不足が慢性的な課題となっています。国土交通省の『最近の物流政策について』によると、約70%の企業でトラック運転者が不足していることが報告されています。

そうしたなか、国民生活や企業活動などの社会インフラを担う物流を持続的・安定的に確保することを目指して、政府は『ホワイト物流』推進運動への参加を呼びかけています。

ホワイト物流推進運動への参加を検討しながら、「詳細について知りたい」「取組むことでどのようなメリットがあるのだろう」と考える担当者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ホワイト物流推進運動の目的やメリットについて解説します。


出典:国土交通省『最近の物流政策について


目次[非表示]

  1. 1.ホワイト物流推進運動とは
  2. 2.ホワイト物流推進運動の目的
  3. 3.ホワイト物流推進運動に取組むメリット
    1. 3.1.①生産性の向上
    2. 3.2.②人材採用の促進
    3. 3.3.③SDGsへの貢献
  4. 4.まとめ



ホワイト物流推進運動とは

ホワイト物流推進運動とは、深刻なトラック運転者不足に対して、物流事業者や取引先などの関係者との相互理解や協力のもと、物流の改善に向けて取組む運動です。

ホワイト物流推進運動に参加するには、自主行動宣言の必須項目に合意したうえで、賛同表明を行います。


▼自主行動宣言の必須項目

  • 取組み方針
  • 法令順守への配慮
  • 契約内容の明確化・順守

また、賛同表明に加えて、生産性の高い物流や働き方改革の実現に向けて自社が取組める項目を選定します。取組み内容や選定数については、各企業における物流の実態に基づいて自由に選択できる仕組みです。

ホワイト物流推進運動で推奨されている取組みには、以下が挙げられます。


▼ホワイト物流推進運動の推奨項目(一部抜粋)

画像引用元:国土交通省・経済産業省・農林水産省『「ホワイト物流」推進運動のご案内と参加のお願い


出典:国土交通省・経済産業省・農林水産省『「ホワイト物流」推進運動のご案内と参加のお願い



ホワイト物流推進運動の目的

ホワイト物流推進運動の目的は、トラック輸送の生産性の向上と物流の効率化、そして、女性や60代運転者などが働きやすい労働環境を実現することです。その背景には、トラック運転者の不足があります。

国土交通省の『最近の物流政策について』によると、トラック運転手の有効求人倍率は、2021年6月時点で1.92倍となっており、全職業の0.97倍と比較すると約2倍も高くなっています。トラック運転手の求人募集に対して採用が追い付いておらず、人手不足が発生していることが分かります。

物流の担い手となるトラック運転者が不足する理由には、出荷元・納品先での待ち時間が長いことによる長時間労働や、積込・積降しといった荷役作業の肉体的な負担が考えられます。

また、トラック運転手の高齢化によって、この先の定年による大量離職が予測されるなか、トラック運転者の不足がさらに深刻化すると見込まれています。

今後、社会インフラとなる物流を持続的・安定的に確保するには、女性や60代が働きやすい労働環境を構築して、人手不足を解消へつなげることが重要です。そのためには、物流業務の効率化や生産性の向上を図り、長時間労働や荷役作業の負担を軽減するための取組みが欠かせません。

出典:国土交通省『最近の物流政策について



ホワイト物流推進運動に取組むメリット

荷主企業・納品先企業・物流事業者がホワイト物流推進運動に取組むことで、生産性の向上や人材獲得・育成の促進、SDGsへの貢献といったメリットが期待できます。

ここからは、ホワイト物流推進運動に取組む主な3つのメリットについて解説します。


①生産性の向上

1つ目は、生産性の向上が期待できることです。

物流の関係者が連携して、非効率な物流プロセスや業務フローを見直し・改善することができれば、荷待ち時間や全体的なリードタイムを短縮できます。これにより、サプライチェーン全体の生産性向上につながります。


▼課題解消事例

課題
  • 荷待ち時間が常態化している
  • 先着順で積込、積降しをしている
  • 特定の時間帯に納品車両が集中している
改善策
  • 納品先に予約受付システムを導入してもらい、物流事業者が活用する
  • 各トラックバースの荷役予定時間を事前に設定する
成果
  • 荷待ち時間を大幅に短縮できた
  • 庫内作業の効率化を実現できた

国土交通省・経済産業省・農林水産省『「ホワイト物流」推進運動のご案内と参加のお願い』を基に作成


出典:国土交通省・経済産業省・農林水産省『「ホワイト物流」推進運動のご案内と参加のお願い


②人材採用の促進

2つ目は、人材採用を促進できることです。

たとえば、荷物の積込・積降しなどの作業を自動化・機械化することで、トラック運転手の肉体的負担を軽減できます。女性や60代の労働者も働きやすい職場を構築できれば、採用の促進や人材の定着などにつながります。

また、ホワイト物流推進運動に賛同表明することで、ポータルサイト上に企業名が公表されます。働き方改革に積極的に取組む企業としてアピールすれば、企業のイメージアップにつながり、採用活動にも有利に働くことが期待できます。


▼課題解消事例

課題
  • 積込・積降し作業が肉体的な負担となっている
  • トラックの到着時間が分かるまで、受け入れ準備ができない
改善策
  • 物流事業者と発荷主・着荷主でパレット(※)を使用するように調整した
  • 荷役アシスト機器導入により肉体的な負担を解消した
  • 予約受付システムを導入して、事前に受け入れ準備を調整できるようにした
成果
  • 荷役時間を大幅に短縮できた
  • 年齢・性別に関係無く働き、定着しやすい現場となった
  • 荷役や検品の作業を効率化できた

国土交通省・経済産業省・農林水産省『「ホワイト物流」推進運動のご案内と参加のお願い』/
資源エネルギー庁『準荷主ガイドライン』を基に作成


※パレットとは、貨物を乗せる貨物台のこと。木製・金属製・プラスチック製などがある。

出典:国土交通省・経済産業省・農林水産省『「ホワイト物流」推進運動のご案内と参加のお願い


③SDGsへの貢献

3つ目は、ホワイト物流推進運動に取組むことで、SDGsにも貢献できることです。

SDGsとは、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のことです。全17の目標のなかには、物流と関係の深いものも含まれています。


▼物流と関係の深い目標

目標8
▼働きがいも経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長や、すべての人々の完全で生産的な雇用と人間らしい雇用を促進する
目標9
▼産業と技術革新の基盤をつくろう
強靭なインフラの構築と包摂的で持続可能な産業化の促進、イノベーションの推進を図
目標13
▼気候変動に具体的な対策を
気候変動の影響を軽減するための緊急対策を講じる

外務省『持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組』を基に作成


ホワイト物流推進運動に賛同して物流を効率化することで、二酸化炭素排出量を削減して、地球温暖化の環境問題に対応できます。

また、物流の安定化を図ることは、持続可能な社会インフラの確保・産業化の促進にもつながります。

出典:外務省『持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組



まとめ

この記事では、ホワイト物流推進運動について以下の内容を解説しました。


  • ホワイト物流推進運動とは
  • ホワイト物流推進運動の目的
  • ホワイト物流推進運動に取組むメリット


ホワイト物流推進運動は、深刻化するトラック運転者不足の改善のほか、国民生活や産業活動に必要な物流の安定的な確保を目的とした取組みです。

企業がホワイト物流推進運動に参加することで、サプライチェーン全体の生産性の向上や、企業の人材採用の促進、さらにSDGsの貢献につながることが期待されています。

社会インフラを担う物流現場の人手不足を解消して、物流の持続可能性を高めるために、物流の関係事業者と連携しながら、ホワイト物流推進運動に取組んではいかがでしょうか。

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