物流DXを加速させる荷物運搬ロボットとは? 種類や導入のメリット解説
これまで物流業界では、実証検証を含めて、企業が“ロボット採用企業”と“非ロボット採用企業”に2分化していました。
しかし、近年は、新型コロナウイルス感染症の影響による人手不足を背景に、ロボット化を検討する企業が急激に増している状況です。
荷物運搬ロボットの導入は、物流現場の人手不足解消や生産性向上に貢献するといわれていますが、どのようなメリット・注意点があるのか理解しておらず、導入に踏み切れていないケースもあるのではないでしょうか。
この記事では、荷物運搬ロボットの種類や導入メリット、注意点について解説します。
目次[非表示]
- 1.荷物運搬ロボットの種類
- 1.1.①AGV
- 1.2.②AMR
- 1.3.③GTP
- 1.4.④単純作業特化型ロボット
- 2.荷物運搬ロボットを導入するメリット
- 2.1.①業務の省人化・効率化
- 2.2.②安全の確保
- 2.3.③ヒューマンエラーの防止
- 3.荷物運搬ロボットを導入する際の注意点
- 4.まとめ
荷物運搬ロボットの種類
荷物運搬ロボットとは、荷物の運搬やピッキング、仕分けなどの物流に関する業務を自動化するロボットのことです。
荷物運搬ロボットには、役割に応じてさまざまな種類があります。ここでは、物流現場で活用されている代表的なロボットを4つ紹介します。
①AGV
AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)とは、固定された経路上を無人走行するロボットです。
倉庫の床面に磁気テープやバーコード、電磁誘導ケーブルなどを設置することで、固定のルートをロボットが走行します。
決まった経路で荷物や資材などを運搬するため、従業員の業務負担の軽減、省人化が期待できます。ただし、レイアウトの変更時にはガイドの引き直しが必要です。
②AMR
AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)とは、AGVのようなガイドを必要としない自律的に移動するロボットです。
カメラ・センサーによって周囲の情報を収集することで、人や障害物を避けながら、目的地までのルートを生成して走行します。
導入時に磁気テープやバーコードなどのレイアウトを設計する必要がないため、現場の環境変化にも柔軟に対応しやすくなります。
③GTP
GTP(Goods To Person:棚搬送型ロボット)とは、荷物の入った棚ごと搬送するタイプのロボットです。
二次元バーコードをカメラが認識することによって倉庫内の床を移動して、可動棚ごと商品を搬送します。特にピッキング作業が必要な倉庫に活用されています。
GTPは、ピッキング業務の効率化・省人化が期待できる一方、レイアウト設計に時間がかかる、導入コストが高額になりやすいといった課題もあります。
④単純作業特化型ロボット
単純作業特化型ロボットとは一定の工程に沿って、繰り返し作業をするロボットです。
掴む・降ろす・反復運動をするといったように、事前に設定された動作を人の代わりに行います。
レーンに載せた荷物を運ぶスライダーや、定位置でピッキング作業をするスカラロボットなどが単純作業特化型ロボットに該当します。
荷物運搬ロボットを導入するメリット
物流現場に荷物運搬ロボットを導入することで、業務の省人化・効率化、安全の確保、ヒューマンエラーの防止といったメリットがあります。
ここでは、荷物運搬ロボットを導入する3つのメリットを詳しく解説します。
なお、倉庫業務の省人化についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
①業務の省人化・効率化
荷物運搬ロボットを導入して、搬入やピッキングなどの作業を自動化することで、現場業務の省人化・効率化を図れます。
また、運搬作業を人が行う場合であっても、運搬アシスト機能が備わったロボットであれば、軽い力で動かせるようになります。体力的な負担を軽減すれば、性別や年齢に関係なく、さまざまな人材を活用することが可能です。
このように、ロボットを活用して現場の省人化・効率化を図ることで、人手不足の解消、生産性の向上が期待できます。
②安全の確保
従業員の安全を確保できるといった点も、荷物運搬ロボットを導入するメリットの一つです。
センサーで周囲の環境を把握できるセンシング技術が備わったロボットを導入すれば、重い荷物を運ぶ際や、粉砕機への投入作業など、危険が伴う作業を任せられます。
重大事故・労災リスクの削減に加えて、属人化しやすい難しい作業もロボットに対応してもらうことで、従業員の負担軽減にもつながります。このように、荷物運搬ロボットの導入は、倉庫や工場における安全体制の強化にも貢献します。
③ヒューマンエラーの防止
ロボットは決められた作業を確実にこなすため、ヒューマンエラーが発生しにくいといったメリットもあります。
人力による作業は、集中力の低下や確認漏れなどによって、配送先やピッキングなどのミスが発生する可能性があります。
また、監視・ダブルチェックの体制が必要となるため、ミスの防止には人手が必要です。荷物運搬ロボットを導入すれば、ヒューマンエラーの発生を最小限に抑えて、業務標準化による品質の安定化やトラブル防止、省人化などが期待できます。
荷物運搬ロボットを導入する際の注意点
荷物運搬ロボットの導入にあたっては、コストや導入環境の制限に注意が必要です。ここでは、荷物運搬ロボットを導入する際の注意点について解説します。
導入コストの発生
荷物運搬ロボットを導入するには、ロボット本体や誘導体などの費用に加えて、性能を維持するためのメンテナンス、保守管理にランニングコストが発生します。
また、ロボットの性能や台数によっては、より多くのコストが発生することにも注意が必要です。
しかし、ロボットの導入によって倉庫内作業を効率化できれば、人件費が削減されて、トータルコストを抑えられるケースもあります。費用対効果をしっかりと確認してから導入を検討することが重要です。
導入環境の制限
荷物運搬ロボットの種類・性能によっては、稼働できる場所が制限される場合があります。
たとえば、段差に対応できないロボット、障害物を回避できないロボットなどが挙げられます。
また、ロボットの稼働に磁気テープや電磁誘導ケーブルなどのガイドが必要な場合には、施設内のレイアウト変更が必要です。倉庫・工場の環境に合わせて、安全に稼働できるロボットを選定したり、レイアウトの見直しを図ったりして導入を進めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、荷物運搬ロボットについて以下の内容を解説しました。
- 荷物運搬ロボットの種類
- 荷物運搬ロボットの導入メリット
- 導入する際の注意点
荷物運搬ロボットには、ガイドに沿って稼働するものや、自律的に稼働するもの、単純作業を繰り返すものなどさまざまな種類があります。
荷物運搬ロボットを導入すると、これまで人手で行ってきた倉庫業務を自動化できるため、業務の省人化・効率化、安全性の確保、ヒューマンエラーの防止につながります。
導入する際は、ロボット本体の費用だけでなく、ランニングコストや費用対効果なども考慮して検討します。また、導入する倉庫・工場の環境に問題がないかを確認しておくことも重要です。
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