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物流業界の課題とは? 業務効率化を図る3つのポイント

近年、EC市場規模の拡大による宅配便の急増や、消費者需要の高度化・多様化に伴う多品種・小ロット輸送の増加などを背景に、物流需要が高まっています。

一方で、トラックドライバー数は2000年以降減りつづけており、2030年には物流需要の約36%が配送できなくなるといった試算も報告されています。

そうしたなか、安定した物流を維持していくためには、物流現場における業務の効率化を図り、生産性の向上につなげることが重要です。

この記事では、物流業界が抱える課題をはじめ、業務効率化を図るためのポイントについて解説します。

出典:経済産業省『物流危機とフィジカルインターネット』『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況


目次[非表示]

  1. 1.物流業界が抱える課題
    1. 1.1.慢性的な労働力不足
  2. 2.物流コストの高騰
  3. 3.物流業務を効率化するためのポイント
    1. 3.1.①物流拠点・輸送網の集約化
    2. 3.2.②人力作業の自動化・省力化
    3. 3.3.③予約受付システムの導入
  4. 4.まとめ


物流業界が抱える課題

物流業界には、労働力不足や物流コストの高騰といった課題があります。


慢性的な労働力不足

物流業界の課題として、労働力不足が顕在化していることが挙げられます。

経済産業省・国土交通省・農林水産業が連名で公開している『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況』によると、常時使用する労働者が不足していると回答した企業の割合は、全産業と比べて運輸業・郵便業が多くなっています。


▼常用労働者の過不足状況

画像引用元:経済産業省『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況

また、トラックドライバーが不足していると感じる企業の割合は、2021年度で54%と、半数以上が回答しました。


▼トラックドライバーが不足していると感じる企業の割合

画像引用元:経済産業省『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況

このような労働力不足の背景には、少子高齢化による生産年齢人口(15〜64歳)の減少や、労働環境(長時間労働・業務負荷)を理由とした採用難があると考えられます。

出典:経済産業省『物流危機とフィジカルインターネット』『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況



物流コストの高騰

“2024年問題”によって物流コストが高騰する可能性があることも課題の一つです。

2024年問題とは、2024年度からトラックドライバーの時間外労働を上限規制することで起こるさまざまな問題のことです。

働き方改革における労働基準法の改正によって、自動車運転の業務(トラックドライバー)に対しても、2024年度から時間外労働の上限規制が適用されます。


▼2024年度から時間外労働の上限規制が適用される事業・業務

画像引用元:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説


時間外労働の上限規制が適用されると、ドライバーの労働量が減って、月間当たりに運べる積載量も減少します。また、同時に割増賃金が引き上げられるため、ドライバーの人件費も増加します。その結果、物流コストが高騰すると考えられます。

2024年問題による物流コストの高騰に対応するためには、業務の効率化を図り、生産性の向上や労働環境の改善につなげることが重要です。

なお、2024年問題については、こちらの記事で詳しく解説しています。

  物流業界の2024年問題についてわかりやすく解説 働き方改革の実現によって、労働環境の改善による生産性向上や多様な人材の活用などが期待されています。一方で、社会インフラを支える物流業界においては、“2024年問題”という新たな課題に直面しています。 物流を担う企業では、2024年問題による影響や原因について理解を深めたうえで、適切な対策を講じる必要があります。 この記事では、物流業界における2024年問題と対策についてわかりやすく解説します。 DX Solutions

出典:経済産業省『物流危機とフィジカルインターネット』『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況』/厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説



物流業務を効率化するためのポイント

物流業界における労働力不足や、時間外労働の上限規制の課題に対応するには、業務の効率化を図ることが重要です。


①物流拠点・輸送網の集約化

物流業務を効率化する方法として、物流拠点・輸送網の集約化が挙げられます。

複数のエリアに倉庫や工場などが分散している場合、1つの拠点での積載量が少なくなるほか、トラックの稼働台数が増えてしまいます。また、横待ち配送が発生することで配送効率が低下したり、拠点間の移動距離が長くなったりします。

物流拠点を一箇所にまとめて輸送網を集約化することで、配送ルートが削減されて、拠点間の移動距離を短縮することが可能です。


▼輸送網の集約化イメージ

画像引用元:経済産業省『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況

出典:経済産業省『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況』/国土交通省『物流の効率化に向けた取組について


②人力作業の自動化・省力化

業務効率化を図るには、人力で行ってきた荷物の運搬作業や荷積み・荷卸し作業を自動化・省力化することもポイントの一つです。

無人運搬機や自動フォークリフト、自動ピッキングなどの機械・ロボットを導入することで、人力での作業を削減できるようになります。

効率的な作業によって、生産性の向上につながるほか、人手不足の解消や残業時間の削減も期待できます。

また、作業補助スーツやアシスト機器などを導入すれば、運搬作業による身体的負荷を軽減することも可能です。女性や高齢者にも作業しやすい環境を整備できるため、人材確保・定着化にもつながると考えられます。

作業補助スーツのマッスルスーツについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

  【マッスルスーツ】使い方や物流現場に導入するメリットを解説 荷物・建材などの搬送を行う物流現場においても、荷役・運搬作業の負担軽減や、女性・高齢従業員の活躍のために、マッスルスーツの活用が期待されています。 現場管理者のなかにはマッスルスーツの導入を検討しているものの、「どのように使用するのか」「導入するメリットはあるのか」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。 この記事では、マッスルスーツの使い方と導入するメリットについて解説します。 DX Solutions

マッスルスーツは株式会社イノフィスの登録商標です。

出典:国土交通省『物流・配送会社のための物流DX導入事例集


③予約受付システムの導入

予約受付システムを導入して、荷受け作業を効率化する方法も有効です。

荷物の輸送において、先に到着したトラックから荷積み・荷卸しが行われる場合には、集荷先・配送先で手待ち時間が発生するケースも少なくありません。

予約受付システムを導入して、荷役予定時間を事前に設定することで、以下のような対応が可能となります。


▼予約受付システムの導入でできること

項目
詳細
トラック側
バースごとの荷卸し時間を予約して、予約時間に基づいて運行する
物流施設側
予約状況を踏まえて荷卸し作業の計画を立てる


このようにトラック到着後の手待ち時間を短縮することで、効率的な荷受け作業が可能となり、作業時間の削減につながります。その結果、トラックドライバーの長時間労働を防ぐことにも貢献します。

なお、職場環境を改善して、生産性の向上や人手不足への対応を目指す“ホワイト物流推進運動”については、こちらの記事で詳しく解説しています。

  ホワイト物流推進運動に取組む目的とメリットとは 現在、物流業界における人手不足が慢性的な課題となっています。国土交通省の『最近の物流政策について』によると、約70%の企業でトラック運転者が不足していることが報告されています。 そうしたなか、国民生活や企業活動などの社会インフラを担う物流を持続的・安定的に確保することを目指して、政府は『ホワイト物流』推進運動への参加を呼びかけています。 ホワイト物流推進運動への参加を検討しながら、「詳細について知りたい」「取組むことでどのようなメリットがあるのだろう」と考える担当者の方も多いのではないでしょうか。 この記事では、ホワイト物流推進運動の目的やメリットについて解説します。 DX Solutions

出典:国土交通省『物流の効率化に向けた取組について』/厚生労働省 『取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン



まとめ

この記事では、物流業務の効率化について以下の内容を解説しました。


  • 物流業界が抱える課題
  • 効率化するためのポイント


物流業界には、少子高齢化や労働環境を理由とした慢性的な労働力不足、物流コストの高騰といった課題があります。

人材の採用・定着化や長時間労働の削減を図るためには、物流業務を効率化して、生産性の向上、労働環境の改善に努めることが重要です。

効率化を図るポイントとしては、物流拠点・輸送網の集約化をはじめ、人力作業の自動化・省力化、予約受付システムの導入などが挙げられます。

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